……いや,旅の荷物自体は,デニスのそれと何ら変わらない。問題は,鞘ごと背中に斜めに背負っている大剣の方だ。
「それ……,持って行ってどうするの?」
リディアも首を傾げた。デニスは近衛兵という彼の職務上,武器の携行は仕方ないし,彼の剣は身長の半分ほどの長さなので,旅に持って行っても邪魔にならないが,ジョンの武器は大きくて重量も相当なものだ。
邪魔になるのはもちろん,町中で振り回せば大惨事になりかねない。そもそも,こんなに大きな武器,使う機会なんてあるのか。
「まあ,『備えあれば憂いなし』ですよ」
「はあ……,そう」
何だかわけの分からないジョンの言葉に,リディアは引きつった笑顔で曖昧に頷くしかなかった。本人がどうしても「持って行きたい」と言うなら,「ダメです」と止めることはできない。いくら主でも。
(まあいいわ。わたしもデニスも,別に困らないし)
「――さて,そろそろ出発致しましょう。あまり出るのが遅くなると,着く頃には夜になってしまいますよ」
ねえ姫様,と言うジョンに,リディアは懇願した。
「それ……,持って行ってどうするの?」
リディアも首を傾げた。デニスは近衛兵という彼の職務上,武器の携行は仕方ないし,彼の剣は身長の半分ほどの長さなので,旅に持って行っても邪魔にならないが,ジョンの武器は大きくて重量も相当なものだ。
邪魔になるのはもちろん,町中で振り回せば大惨事になりかねない。そもそも,こんなに大きな武器,使う機会なんてあるのか。
「まあ,『備えあれば憂いなし』ですよ」
「はあ……,そう」
何だかわけの分からないジョンの言葉に,リディアは引きつった笑顔で曖昧に頷くしかなかった。本人がどうしても「持って行きたい」と言うなら,「ダメです」と止めることはできない。いくら主でも。
(まあいいわ。わたしもデニスも,別に困らないし)
「――さて,そろそろ出発致しましょう。あまり出るのが遅くなると,着く頃には夜になってしまいますよ」
ねえ姫様,と言うジョンに,リディアは懇願した。



