「はあ。では申し上げます。――俺は,初めてお会いした時から,ずっと姫様に好意を抱いていました」
「いました,って?」
リディアは首を傾げた。既に過去形になっているのに,先ほどまであんなに複雑そうな表情を浮かべていたのはなぜだろう?
「デニスと両想いになったと聞かされた時,俺は姫様への恋心を封印したつもりでした。姫様のアイツへの想いには気づいていましたし,結ばれるべきは一兵卒の俺よりも,いつもお側にいるデニスの方だろうと思い,恋心を忠誠心にすり替えて」
そうして姫様のことはデニスに譲り,自分の想いは過去形にしたのだと,彼は言った。
「それでも諦めきれなかったんでしょう?さっきの表情を見ていたら分かるわ」
「その通りです。姫様は鋭いですね。俺の想いは,封印した後もずっと燻っていました。だからといって,デニスからあなたを奪うつもりなんかなくて。なんとか忠誠心なんだと自分に言い聞かせて,ごまかし続けていました。姫様に告げることもないと思っていましたし」
「いました,って?」
リディアは首を傾げた。既に過去形になっているのに,先ほどまであんなに複雑そうな表情を浮かべていたのはなぜだろう?
「デニスと両想いになったと聞かされた時,俺は姫様への恋心を封印したつもりでした。姫様のアイツへの想いには気づいていましたし,結ばれるべきは一兵卒の俺よりも,いつもお側にいるデニスの方だろうと思い,恋心を忠誠心にすり替えて」
そうして姫様のことはデニスに譲り,自分の想いは過去形にしたのだと,彼は言った。
「それでも諦めきれなかったんでしょう?さっきの表情を見ていたら分かるわ」
「その通りです。姫様は鋭いですね。俺の想いは,封印した後もずっと燻っていました。だからといって,デニスからあなたを奪うつもりなんかなくて。なんとか忠誠心なんだと自分に言い聞かせて,ごまかし続けていました。姫様に告げることもないと思っていましたし」



