「実は,まだ発表前なので内密なのですが。わたしも一月後に,皇帝として即位することになったのです。父からの譲位という形で」
国家機密である事実を,国民の前に他国の君主に漏らすのはどうかと思ったが,彼とは今後友好を深めていくつもりなので,ためらいはなかった。
「そうですか!おめでとうございます。あなたが皇帝となれば,この国はいまよりずっと栄えていくでしょうね。楽しみです」
「はい,ありがとうございます!わたし,頑張ってこの国をよりよい国にしますわ!」
カルロスに微笑みかけられ,リディアは俄然やる気になる。もちろん,今のままでも充分いい国ではあるのだけれど。
「デニスどの,君がしっかりとリディア様を支えて差し上げて下さい。……婚約なさっているそうだね?」
「はい,……ぅえっ!?」
畏まってカルロスに頷いたデニスは,後半部分の囁きを聞いて思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。その囁きはリディアの耳には入らなかったらしく,隣りで「なにごと?」と怪訝そうな顔をしている。
国家機密である事実を,国民の前に他国の君主に漏らすのはどうかと思ったが,彼とは今後友好を深めていくつもりなので,ためらいはなかった。
「そうですか!おめでとうございます。あなたが皇帝となれば,この国はいまよりずっと栄えていくでしょうね。楽しみです」
「はい,ありがとうございます!わたし,頑張ってこの国をよりよい国にしますわ!」
カルロスに微笑みかけられ,リディアは俄然やる気になる。もちろん,今のままでも充分いい国ではあるのだけれど。
「デニスどの,君がしっかりとリディア様を支えて差し上げて下さい。……婚約なさっているそうだね?」
「はい,……ぅえっ!?」
畏まってカルロスに頷いたデニスは,後半部分の囁きを聞いて思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。その囁きはリディアの耳には入らなかったらしく,隣りで「なにごと?」と怪訝そうな顔をしている。



