リディアは膨れっ面をしつつ,まだ姿の見えないもう一人の幼なじみについてデニスに訊ねた。すると,彼から返ったのは意外な答え。事もなげに,しれーっと。
「まだ声もかけてない。今から呼びに行くところだ」
「ええっ⁉一緒に行くって決まってたんじゃないの⁉」
リディアは心底驚いた。彼の先程の口ぶりから,もうジョンにも同意を得たものとすっかり思い込んでいたのに。
「大丈夫だって。アイツのいそうな場所ならオレ分かってるから。リディアも一緒に誘いに行こう」
「えっ⁉行くってどこによ?」
「剣術の稽古場だ。――行くぞ」
リディアの「ちょっと待って!」の声も聞かずに,デニスは彼女の前に立って歩き出した。剣の鍛錬が日課のジョンは,ほぼ毎日そこに入り浸っている……らしい。
「もし,ジョンが『行かない』って言ったらどうするの?」
リディアはデニスの歩調に合わせて歩きながら,彼に訊いた。
デニスは彼女を護衛する任務についているため,公の時には常に彼女の前を歩いているのだが,こういう私的な外出の時などには,女性であるリディアに歩く速さを合わせてくれる。無骨なように見えて,実は紳士的なのである。
「それも大丈夫だ。アイツがリディアの誘いを断ったこと,一度でもあったか?」
「……なかった,と思う」
「まだ声もかけてない。今から呼びに行くところだ」
「ええっ⁉一緒に行くって決まってたんじゃないの⁉」
リディアは心底驚いた。彼の先程の口ぶりから,もうジョンにも同意を得たものとすっかり思い込んでいたのに。
「大丈夫だって。アイツのいそうな場所ならオレ分かってるから。リディアも一緒に誘いに行こう」
「えっ⁉行くってどこによ?」
「剣術の稽古場だ。――行くぞ」
リディアの「ちょっと待って!」の声も聞かずに,デニスは彼女の前に立って歩き出した。剣の鍛錬が日課のジョンは,ほぼ毎日そこに入り浸っている……らしい。
「もし,ジョンが『行かない』って言ったらどうするの?」
リディアはデニスの歩調に合わせて歩きながら,彼に訊いた。
デニスは彼女を護衛する任務についているため,公の時には常に彼女の前を歩いているのだが,こういう私的な外出の時などには,女性であるリディアに歩く速さを合わせてくれる。無骨なように見えて,実は紳士的なのである。
「それも大丈夫だ。アイツがリディアの誘いを断ったこと,一度でもあったか?」
「……なかった,と思う」



