――その翌朝。自室で早く目を覚ましたリディアは,ベッドから出てライティングデスクに向かっていた。彼女はインクを浸した羽根ペンの先を便箋に走らせ,せっせと一通の手紙を(したた)めているところである。
「――よし,これでいいかしらね。さて,あとは……」
彼女は書き終えた手紙を四つ折りにしたところで,机の上の呼び鈴を鳴らした。
チリンチリン……
「エマはいる?」
すると,ドアが開いて,侍女のエマが入室してきた。
「はい。姫様,おはようございます。――何かご用でしょうか?」
「おはよう,エマ。朝早くに申し訳ないのだけど,この手紙を,兵士の宿舎にいるジョンに届けてきてほしいの。頼めるかしら?」