「相変わらず,といえば……。あなたのそのふてぶてしい態度も相変わらずよね」
「……え?」
リディアが皮肉ってそう言うと,デニスは焼き菓子をつまむ手をピタリと止め,彼女に向けて呆けたような表情をした。
「『え?』じゃないでしょう?一人前の兵士になったら,態度を改めるって約束したじゃない!なのに,一向に改める気がないんだもの」
「あれ?オレ,そんなこと言ったっけ?」
苛立ちながらリディアが言っても,デニスはすっとぼけるだけ。
「言いました!『オレを信じろ』とも言ったわ。――もう六年も前のことだから,忘れてるかもしれないけど」
リディアは憂うように,目を伏せた。睫毛が長い分,余計美しさが増す表情だ。
ここレーセル帝国では,十八歳でもう一人前の大人として認められる。飲酒が解禁されるというだけでなく,仕事や結婚の面でも,親の承諾が必要なくなるのである。
したがって,デニスももう一人前……のはずなのだが。彼のリディアに対する態度は,六年前からほとんど変わっていない。
変わったことといえば,呼び方が「お前」から「リディア」に変わったことくらいだろうか。
「……え?」
リディアが皮肉ってそう言うと,デニスは焼き菓子をつまむ手をピタリと止め,彼女に向けて呆けたような表情をした。
「『え?』じゃないでしょう?一人前の兵士になったら,態度を改めるって約束したじゃない!なのに,一向に改める気がないんだもの」
「あれ?オレ,そんなこと言ったっけ?」
苛立ちながらリディアが言っても,デニスはすっとぼけるだけ。
「言いました!『オレを信じろ』とも言ったわ。――もう六年も前のことだから,忘れてるかもしれないけど」
リディアは憂うように,目を伏せた。睫毛が長い分,余計美しさが増す表情だ。
ここレーセル帝国では,十八歳でもう一人前の大人として認められる。飲酒が解禁されるというだけでなく,仕事や結婚の面でも,親の承諾が必要なくなるのである。
したがって,デニスももう一人前……のはずなのだが。彼のリディアに対する態度は,六年前からほとんど変わっていない。
変わったことといえば,呼び方が「お前」から「リディア」に変わったことくらいだろうか。



