――と,その前に,その十日間をリディアとデニスの二人がどのように過ごしていたのかを描写(びょうしゃ)しておこうと思う。
ジョンの本心を知ったデニスは翌日の夜,例の四阿でリディアにそのことを話した。
「いいんじゃないの?」
彼女の反応は,デニスの予想に反して淡白(たんぱく)なものだった。
「えっ,いいのかよ?」
デニスは虚をつかれたように声を上げる。
「ええ。だって,愛し方は人それぞれ違って当然だもの。わたしにはわたしなりの,あなたにはあなたなりの愛し方があるように,彼には彼なりの愛し方があってもいいはずよ」
それが「忠義を尽くして,陰ながら守ること」ならば,それでもいいとリディアは言うのだ。