リディアもよく理解している。外交をするうえで,国の代表として招待した国賓は重要な客人なのだ。個人的な事情から蔑ろにすることは,次期皇帝として失格だと。
あくまでも縁談の話は忘れ,国の代表として迎えれば何の問題もない。はずなのだが。
「おっと。これを預かっていたのを忘れていた。王子からそなた宛ての手紙だ」
「は……?」
父から一通の封筒を差し出されたリディアは,またも心乱された。
「カルロス王子の両親――つまり,先の国王夫妻は既に亡くなっていてな。現在は王子が国を治めているのだ。彼はそなたより二つ歳上なのだが,私がそなたの話をしたところ,えらくそなたのことを気に入ったようで」
「では,この縁談はお父さまではなく,王子のご希望で?」
あくまでも縁談の話は忘れ,国の代表として迎えれば何の問題もない。はずなのだが。
「おっと。これを預かっていたのを忘れていた。王子からそなた宛ての手紙だ」
「は……?」
父から一通の封筒を差し出されたリディアは,またも心乱された。
「カルロス王子の両親――つまり,先の国王夫妻は既に亡くなっていてな。現在は王子が国を治めているのだ。彼はそなたより二つ歳上なのだが,私がそなたの話をしたところ,えらくそなたのことを気に入ったようで」
「では,この縁談はお父さまではなく,王子のご希望で?」



