「いやあ、これは厄介だこと」


目の前で漂う沢山の邪気、悪臭に思わず眉を寄せた。

古びた家の前には門が建てられているのだが、そこに立っているだけでも吐き気が襲ってくるほどである。


「あーあー……これはこれは」


足を踏み入れれば途端に気持ち悪くなり手に持っている数珠が嫌な音を立てて切れてしまう。

顔をしかめて、意を決して扉を二回、ノックした。


「……すみませーん。宅配業者の者なのですが……」
「ハい、ドうゾ」


随分と体が乗っ取られている。

どうして奥さんはこうもなるまでほおっておいたのか。