それからどれほど経っただろうか……。
ラクレス様、リンちゃん、ミライが部屋から出ていき、部屋には、静かな空気が流れている。

「……アカネ?」
「…………。」

アカネとカナタはベッドの脇に座っている。

「……ユラ。」
「ん?…どうしたの。」

アカネの目が訴えてくる。
あぁ。
もしかして……あのこと?

「カナタには、……話したの?」
「うううん。まだだよ。」

カナタは、話の意味が分からないといった顔で、話を聞いている。

「……ユラ?どうしたの。」

カナタはいつものように優しく話しかけてくれる。

「…………カナタ、さ。
ヴァルゴ王国の村で私を助けてくれた時、
『どうしてアリエス王国のプリンセスがここにいるの?』って聞いてきたでしょう?」
「うん。そうだけど……。」

カナタは、真剣に聞いてくれている。
今こそ言うべきだよね。

「……私…ね。
城を……抜け出して来たの……。」