「え、何で…?」

「何でって、女の子1目の前で倒れてる状態で置いてけるわけないでしょ。熱出てるのに。」

熱…、私が?

私は、おでこを触ると、冷えピタが貼ってあった。

「す、すみません。こんな看病してくださって…、すぐに帰ります。」

そう言い、立ち上がろうとすると、

「いや、まだ熱下がってないから…。」

「でも…、」

私は無理にでも立とうしたその時、立ちくらみがし、転びそうになったその時だ。

あれ、痛くない…?

私は、恐る恐る目を開けると、あの時みたいに、優しく触れる大きな手が私を受け止めてくれて

いた。

顔も近く、吐息がかかりそうな距離。

体も、密着しててこれじゃ…、恥ずかしい。

顔が赤くなってしまったのか、それがバレると、男の人も伝染したのかつられて赤くなってい

た。

「いっとくけど、これは君が悪いんだからな…?」

少し照れながら文句を言うその顔に、私は更に恥ずかしくなった。

「あ、あ、私やっぱり帰ります。」

「お、おぉ、そうか、そうだな、そうしよう!」

お互いさっきの事があるのか、ぎこちなくなり、私はその家を後にした。