季節はすっかり春になり、空を見上げれば、ピンクの花びらが舞い落ちる。

ヒラリヒラリと舞うその花びらは、とても美しく見えた。

花びらが散ってしまったら終わってしまうのに、そんな落ちる瞬間まで綺麗で強くて美しく舞

う…。

そんな一度のチャンスしかない桜に、私はたまに悲しくなってしまうのだ。

私は、腕時計を見て時間を確認しようとした次の瞬間、私の口から悲鳴が上がった。

桜に見とれていたせいで、学校に遅れそうになっていたからだ。

私は、慌ててその場を後にしようと地面に置いてあった鞄を拾うとした。

だが、置いてあったはずの鞄がいつのまにか無くなっていて、私は更にパニックになった。

慌てて辺りを探し回ったが、何処にも無い。

こんな平らな場所で、鞄が無くなるはずない…、そんなの辺り前だ。

私は、桜が咲いているのに誰もいない事に後から気づき、少し気味悪くなった。

私は、あまりの怖さに地面にへたり込んでしまった。