第2話


私の周りには、
暴走族も御曹司も副社長もいない



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「あれヤエさん、Bにしたんですか。
てっきりエビカツにすると思ってました。」


「サチコさん、私がお父さんを裏切るわけないじゃないですか。」


「あ~やっぱりうどんはたぬきですよねぇ~!」



サチコさんと後藤が待つテーブルへと腰掛ける。

私達が座る場所はいつも決まって、
出入り口近くの端っこだった。


「ホント最っっ高でしたよね昨日の『絶つづ』!」


「「あ、ホント?」」


「だって“ヨリ戻して~”って願ってたら、
ホントにヨリ戻してくれたんですもん!」



うどんをズルズルと吸いながら、
私とサチコさんとは対照的に、

後藤は昨日最終回を迎えた連ドラ『絶縁は続くよどこまでも』にご満悦の様子だった。


「でもさ、指輪の伏線が結局回収出来てなかったじゃん。」


「・・・??・・・
なんですか指輪って??」


私もあまり人の事は言えないけど、
後藤はどうやら“話の内容”重視じゃなくて、

主演の出川哲朗のカッコ良さにウットリしたい、“目の保養目的”タイプらしい。