2、3歩、足を前に進めた時

「蓮花!またな!」

と声が聞こえた。

私はその声に振り返ることも、言葉を返すこともしなかった。

"またね"が無いことを私は分かっていたからどう返していいか分からなかった。

私はそのまま学校の正門まで真っ直ぐ歩いた。

頬には目から出たぬるい水がつたっていたが、それには気づいかないふりをした。

それに気づいたら、晴の所へ戻って行きそうだったから。

涙で歪んだ視界を戻そうと目をこする私を太陽はもう秋だというのに強く照らしていた。