「響さん。少し聞いてもいいですか?」
 「はい?」
 「響さんは、バレエかダンスとかやってましたか?動きがしなやかで驚いたんですけど………」
 「子どもの頃、少しだけバレエもやってたんです。合わなかったんですけど……」
 「だからか!凄く動きが綺麗で……」
 「だから、こいつに頼んだんだ」



 斉賀と話をしていると、千絃がゆっくりと近づきながらそう言った。
 響は驚いたけれど、斉賀は「さすが、先輩ですね!」と、千絃の言葉に同意しているようだった。


 「響は昔から剣の型が綺麗なんだ。昔からバレエをやったり、幼い頃からしっかりと剣道の基本姿勢を忠実に守って練習していたかはだろうな。それに、剣舞もやればダンス部以上に仕上げるし、殺陣も趣味でやってるからな」
 「……千絃!殺陣は本当に遊びでやってただけで……」
 「すごい!じゃあ、殺陣もやれちゃうんですね!」


 昔の事を話されて焦って止めようとするけれど、スタッフの間では「じゃあ、あれやってもらいたい!」「あんなのも見てもらいたい」と話が盛り上がっていた。
 

 すると、千絃はとても楽しそうにその話しを聞いた後に、微笑みながら響を見た。


 「響の剣技に惚れてたから、俺は仕事を一緒にしたかったんだよ」
 

 その言葉は響に自信を持たせたと共に、悲しみを感じさせるものだった。