24話「依頼」



 「そう言えば、おまえの事なんて呼べばいい?」
 「え?どういうこと?」


 隣に座って朝食を食べなからそう言う千絃を見て、響は聞き返した。
 付き合い始めて数週間が経ち、どちらかの家に泊まる事が多くなってきており、この日は千絃が響の家に来ていた。彼の家より小さいし、ベットも狭いけれど、彼はまったく気にならないようで、「一緒に居れればどこでもいいだろ」と、言ってくれたのだ。料理道具も揃っているので、夕飯を作る事も多くなり、千絃もそれを楽しみにしえくれているようだった。
 順調に恋人同士として生活するようになっていたが、千絃が質問してきた事がわからずに、考え込む。すると、彼はすぐに詳しく教えてくれた。


 「昔はひびって呼んでただろ。今は響って呼んでるけど。おまえはどっちがいいのかと思って」
 「そう言えば、そうだね………」


 昔は「ひび」と呼ばれていたけれど、今では普通に「響」と名前で呼ばれている。それは千絃と言い合いになってしまった時に、響が「ひび」と呼ばないでと言ったからだ。