早く帰りたい。普通の人だったら、施設より病院の方が安全でいいんじゃないの?って思うかもしれないけど、実際は違う。いや、私の施設だけかもしれないけど、館長が虐待気味なところは、毎日何の変哲もない普通の日が1番の幸せ。性的な虐待も、私が耐えれば他の子の笑顔を守れるし、迷惑をかけなければ暴力は振るわれないから。その幸せを今回の入院によって壊されたらたまったものじゃない。まあ、その原因は自分のせいなんだけど...

そんなことを考えていたら、さっきの龍斗先生の言葉を思い出した。そういえば、サラッと血液検査するとか言ってなかった?入院に気を取られすぎて重要なこと聞き漏らしてるじゃん!

に、逃げよ

さすがに病衣じゃ怪しまれるから私服に着替えてっと。よし、レッツゴー!ってなんかちょっと楽しい。病室から首だけを出し、左右確認。うん、誰もいない。走るとバレそうだから、至って堂々と行く。
"私は見舞い客。私は見舞い客..."
心の中で唱えながらエレベーターのボタンを押す。誰か先生が乗ってるかもしれないから、エレベーター横のトイレで来るのを待つ。よし、誰もいない!そのまま乗り込み、1階へ行き、また堂々と外へ出ていく。

「ん〜!!気持ちいい〜!!」

謎の達成感と、外の開放感に伸びをする。そのまま施設へと歩き出した。

この後病院の先生方に大捜索される話はまた後に聞かされることになる。