あ、校長に捕まった。

「河野先生。ご無沙汰してます!
今185㎝ありますよ。もうそろそろ止まってくれるといいんですけどねぇ…。」

「ハハハ…。贅沢な悩みだなぁ。
今研修医なんだってね。何科を選んだんだい?」

「小児科です。」

「そうか。だったらうちの生徒がいつかお世話になるだろうねぇ。
あ、結衣子先生のお迎えかい?」

「はい。連れて帰っていいですか?」

おい!勝手に!

「ハハハ。結衣子先生人気だから。
帰れたらいいねぇ。」

「あ、先生、俺達再来年に結婚することになりました。絶対、式に来てくださいね。」

えぇ!こんなところで言っちゃう?
あぁ、皆さん、興味津々でこっち見てるよ。

「はいはい。楽しみにしてますよ。」


「……結衣子先生、ご結婚されるんですか?
…その指輪……昨日してませんでしたよね?」

あ、やっぱり乾先生も速攻で気付いた。
光り物がついてないのに、目立つよね、この指輪。

「…あ、ハイ。実は昨日……」

「ご無沙汰してます。乾先輩。
結衣子がいつもお世話になってます。」

わ、亮平!皆んな注目しちゃってるよ!

「藤田……久しぶりだね。
婚約したの?」

「ええ、昨日プロポーズして正式に。
まあ、高校の時からすでに彼女の父親との間で結婚の話は出てましたから。」

「……そうか。おめでとう。」

「ありがとうございます!」

あ、なんか恥ずかしいけど嬉しいなぁ。

「あら、藤田くん!
聞いたわよ。やっと結衣ちゃんと結婚決まったのね。あなた、大事にするのはいいけど、閉じ込めちゃダメよ。
結衣ちゃんはもう、この学校の保健室になくてはならない存在なんですからね。皆んな、結婚退職しちゃったら困るわ。」

「前川先生、そんなつもりないですよ。
《結衣子の部屋》は続きます。」

「だったらいいけど。
お幸せにね。お式には呼んでちょうだい。」

「もちろんです!」

前川先生、私が保健室続けられるように…
有り難いなぁ。

「あ、あなたは!
あ、結衣子先生と同じ指輪!まさか…」