ガラッと引き戸が開いて、
三隅先生が入ってきた。

「あ、坂上先生もいたんですね!
出欠確認してたんですよ。
今週金曜日の納涼ビアガーデン、
お2人とも出席にしてましたよね?
その後、カラオケも取ってるんですよ。
二次会。
どうします?
若手は全員参加して欲しいところなんですけど。」

三隅先生は今回の納涼ビアガーデンの幹事。
今年2年目で、卒業生ではない。
5年生の副担任で体育科の先生だ。

「行きますよ。
結衣子先生も行くよね?」

「はい。
でも、カラオケはちょっと…
苦手なんですよ〜。」

「えぇ!
そんなに綺麗な声してるのに?」

「いえ、全然。
聖歌なら覚えてるから
スラスラ歌えるんですけどね。
カラオケは新しい歌、わからないし。」

「結衣子先生は
マイクを両手で握りしめて、
モニター凝視して歌うんだよ。
一昔前のアイドルみたいで、
すごく可愛くて、ナツメロ歌わせたら
男ならみんなキュン死レベルだよ。
本当はファン多数なんだけどね。
恥ずかしがって歌わないから。」

と、余計な情報を入れてくる。
やめてほしい。

「えぇ、それはぜひ見たい!
参加してくださいっ!!」

エェ、そんな目をキラキラさせて言われても…。