お店に入ると、大きなディッピングケースに、色とりどりのアイスクリームがたくさん。

 カップに好きなフレーバーのアイスを組み合わせて盛ってもらう。
 フルーツはもちろん、和風のフレーバーのアイスもあるから、白玉やあんこもトッピングできるみたい。

 せっかくだから、オープンテラスで食べることにした。
 ウッドデッキのテラス席。モスグリーンのパラソルつきの丸テーブルに、絵里とわたしが隣あって座ると、森下くんはすぐに絵里の横の椅子にすわった。

 ちょっとだけ、しゅんとしてしまう。
 森下くん、全然迷いがないんだもん。
 やっぱりわたしの横より、絵里の横がいいよね。話も合うみたいだし。

 必然的に、颯ちゃんがわたしの隣に座ることになった。
 颯ちゃんのカップには、アイスとトッピングのフルーツ、山盛り。

「颯太だけデカ盛りパフェみたいになってるんだけど」
 森下くんが笑った。

「颯ちゃんは見かけによらず甘党なんだよ」
 教えてあげると、
「まじで? 知らなかった」
 と、森下くんは目を丸くした。

「見かけによらずってなんだよ」
 颯ちゃんはちょっぴりむすっとふくれて、すねた。
「かーわーいーいー」
 森下くんが楽しそうにからかうと、颯ちゃんはますますむくれてしまった。

 わたしと絵里は顔を見合わせてくすくす笑った。

 やった。わたし、さっき、すっごくナチュラルに森下くんに話かけることができた。

 たったそれだけのことだけど、うれしくて、足元がふわふわする。

 風に吹かれながらアイスを食べる。

「吉井、ほんとにうまそうに食うなあ」

 森下くんが、アイスをかみしめる絵里を見てくすくす笑った。

「だってほんとにおいしいんだもん。悪い?」
「悪いなんて言ってねーだろ? ってかそれ、何味?」
「はちみつと柚子。緑色のはマスカット」
「えー。めっちゃさわやかじゃん。ひと口ちょうだい?」
「は? 何言ってんの? 駄目に決まってるじゃんっ」

 絵里がむきになると、森下くんは面白そうにけらけら笑った。

 森下くん……。ずっと、絵里にばっかりちょっかい出してる。

 さっきまでの幸せなふわふわが、あっという間にしぼんでいく。