「ここなら、誰もいない」


4階の階段の踊り場



「椛、ドーナツもあるよ」



ドーナツが入った袋を椛に渡した


嬉しそうに食べる椛がかわいかった



「椛、メガネズレてて間抜けだな…」



オレは椛のメガネを外した


椛、焦点が合ってない



「外したら、見えないよ…」



「オレの顔見えるところまで来て…」



「うん…」



椛の顔がオレの顔に近付いた



「見えた…嵩琉、見えた」



ドーナツの甘い匂いと椛の甘い匂いが
混ざった匂い


鼻先が触れた


オレの目いっぱいに、かわいい椛が映った



「椛…」



「ん?」



「好きだから」



「うん」



ーーー



椛と一緒に学園祭まわれると思ってなかった



ホントは憧れだった

羨ましかった



彼女と学園祭とか…



ーーーーー



「嵩琉…」



「ん?」



「学園祭、楽しかった」



「よかった」



「うん
嵩琉…」



「ん?」



「大好き♡」



キュン…

なに?今の音



「椛、かわいい…

けど、ドーナツ置けよ!
オレとドーナツどっちが大事だよ?」



「どっちも!」



満面の笑み

しかも即答



椛が片手に持ってる食べかけのドーナツ


オレもかじった



「椛と同じ味だけど
オレは、椛の方が好き…」



ーーー

ーーーーー



甘いの苦手だけど

甘い椛は大好き