シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?

 電車に乗る間際、鳴海くんの手とぶつかった。

「あ、ごめん」

 鳴海くんはびっくりして、パッと手を引っ込めた。

 ーー何で、ごめん?

 彼に続いて車両に乗り込み、私は彼の綺麗な指先をじっと見つめた。

 手を繋ぎたい。……なんて思ったのは、学生以来だ。

 おずおずと自分の手を伸ばし、私は鳴海くんの手に触れた。

 言わずもがな、鳴海くんはビクッと肩を揺らし、私を見た。

 彼の滑らかで大きな手に、自分の手を重ねて恋人繋ぎ。それだけで心が温かくなる。癒される。

「……沙耶さん、それ反則でしょ?」

 ボソッと耳元で囁く彼は頬を赤く染めている。

鳴海くんからも、ギュッと握り返されて、「えへへっ」と笑い返した。

「あのさ。沙耶さん?」

「うん、なに?」

「その……学校の奴らにさ、俺と沙耶さんが付き合ってるって……言ってもいいのかなぁ、と思って」

 鳴海くんは照れながら目線を地に落とした。その反応を見て、ああ、と思う。

 ーー鳴海くん、多分みんなに公表したいんだ。

「うん。別に良いよ?」

「え。本当に?」

「うん」

「学生から色々ウザい質問されるかもしれないけど、本当に大丈夫?」

「あのねぇ、鳴海くん」

 言いながら深々と嘆息した。