イケメン同級生は、地味子ちゃんを独占したい。

沈黙を破るように、万里くんが名前を呼んだ。


「どうしたの?」

「あいつのこと、好きだった?」



……え?



「好き?」



あいつって、西田くんのことだよね……? それは……いい人だと思ってたし、信頼していたから、好意的に思ってたけど……。

……って、もしかして好きって、恋愛感情としての好きってこと……!?



「ち、違うよ! 西田くんのことは、ただいい人だなって思ってただけで……!」



本当に違うので、全力で首を左右に振った。



「……そっか」



ひどくほっとしたように、息を吐いた万里くん。

……?

私が失恋して落ち込んだんじゃないかと、心配してくれたのかな……?

でも、本当に恋愛感情はなかった。

何も自慢にならないけれど、私は生まれてこのかた男の子を好きになったことがない。

西田くんのことも、“いい人”以上に思ったことはない。