イケメン同級生は、地味子ちゃんを独占したい。

……ん? どうしたんだろう?



「……朝ごはん、美味しかった。また作って」



首を傾げた私に届いたのは、そんな言葉だった。

驚いて、じっと万里くんの横顔を見つめる。

髪の隙間から覗く耳が、真っ赤に染まっていた。

そういえば、万里くんは黙々と食べていたから、朝ごはんの感想は聞いていなかった。

でも、わざわざ言ってくれるなんて……。



「うん! ありがとう!」



どこまでも優しい人だなぁ……。

ふと、万里くんは本当に女嫌いなのだろうかという疑問が湧いた。

だって、私に対しても優しいし……って、もしかしたら女とすら思われてないのかな……?

どんな理由であれ、私にとって万里くんは、“とてもいい人”だった。



「お前最低だな~!」



靴箱の近くに来たとき、私たちが進んでいるのとは別の方向から、そんな声が聞こえた。

聞き覚えのある声に、ふと視線を向ける。