イケメン同級生は、地味子ちゃんを独占したい。


こんな時間、残っているのは部活か委員会の人くらい。

万里くんは、少し黙ってから、ゆっくりと口を開いた。



「……用事あって残ってた」



用事……か。

でも、どうして私の教室に……。



「そ、そっか……」



気になることはまだあったけど、これ以上は聞かないことにした。

それにしても……。



「万里くん……は、速いね」



パチンパチンと一定のリズムでプリントの束を作っていく万里くん。私の5倍くらいの速度でこなしているんじゃないかと思う速さに、目を疑った。



「そう? 桜が丁寧すぎるだけ」



ドキッと、心臓が跳ね上がった。

さりげなく名前を呼ばれて、驚いてしまう。

昨日も呼ばれたけど……呼び捨てに慣れるのは時間がかかりそう。

でも、全然嫌じゃない。

むしろ……万里くんに名前を呼ばれることを、嬉しいとすら思っている自分がいた。