「きゃー!! 見て! プリンスいるよ!!」



教室に響いた声に、ピタリと笑いが止まった。

プリンス……? そういえば、この前もそんなワードを耳にしたような気が……。

クラスの女の子たちが、教室の窓から一点を見ている。



「なんのことだろうね」



私の言葉に、日奈子ちゃんは青い顔のままこっちを見た。



「そんなこと言ってる場合じゃないよ、桜ちゃん……!」

「日奈子ちゃん、プリンスって知ってる?」

「え、えっと、確か名前は忘れちゃったんだけど……学年1位の人だよね? って、だからそんなこと言ってる場合じゃないよー……!!」



……え? 学年1位の人って、もしかして……。

私の頭に、ある人の顔が浮かんだ。

慌てて席を立って、私は女の子たちが見ている場所を確認した。

正門から校舎までの道を歩いている、1人の男子生徒。