こっそりと出ていこうとしたとき、悠里さんに声をかけられ、ぎくりと立ち止まる。



「だ、大丈夫です……!」

「でも、せっかくだから……」

「あ……わ、私、早く行かなきゃいけなくて……」



適当な言い訳をすると、悠里さんは不思議がるような表情をしながらも、それ以上は何も言わなかった。



「そうなんだね……気をつけて行ってらっしゃい」

「行ってきます」



笑顔でそう言って、家を出る。

ほっと、安堵の息を吐いた。

万里くんと、一緒に登校するわけにはいかない。

優しいから、言ったらきっと一緒に通学してくれるだろうけど……迷惑はかけたくなかった。私みたいなのといたら……万里くんの評判が下がるかもしれないから。

ただでさえ男の子たちから気味悪がられてるだろうし、万里くんは私と違って人気者だろうから、接点は隠したかった。

ええっと、道はこっちかな……?