「万里、桜ちゃんがごはんを作ってくれたから、早くおいで」

「……え?」



悠里さんの言葉に、万里くんはなぜか切れ長な目を大きく見開いた。

そして、少し早足でテーブルのほうに歩いてくる。



「これ、作ったの?」



私に向かってそう聞いてきた万里くんに、こくりと頷いて返す。



「う、うん……!」

「へぇ……」



そんな私たちの姿を、他のみんなが驚きながら見ていたことも知らずに。



「ふふっ」



……ん?

悠里さんが、なぜか嬉しそうに笑っていて、首を傾げる。

そして長男さんも、これでもかというぐらい目を見開きながらこっちを見ていた。



「万里が、女の子と話してる……」



ぼそりと、長男さんが独りごとのように何か呟いたけど、聞こえなかった。



「不思議なこともあるもんだね。ていうか食べていい!?」