突然の呼び捨てに、またしても、どきりとした。

男の人に呼び捨てされるなんて……初めて……。



「も、もちろんです……」



万里くんにならそう呼んでもらいたいと思って、何度も首を縦に振った。



「敬語」

「あ……う、うん……!」



万里くんは、再び満足げに笑った。

その笑顔が眩しくって、あんまり直視できない。

万里くんって、綺麗で優しくて……神様みたいっ……。



「それじゃあ、おやすみ、なさいっ……」

「うん。おやすみ」



私は最後にぺこりと頭を下げ、万里くんの部屋を出た。


自分の部屋に戻って、ベッドにダイブする。

万里くんがいてくれて、本当によかった。万里くんまで厳しい人だったら、今頃逃げ出していたかもしれない。

お兄ちゃんがいたらこんな感じだったのかな……と、そんなことを思った。

それにしても、今日は疲れたなぁ……。