そ、そんなわけないかっ……で、でも……だったら今の彼は、なんなんだろう。



「……じゃあ」

「あっ……」



私が何も言わなかったからか、次男さんはそれだけ言ってまた部屋に戻っていった。

……なんだったんだろう……。

わからないけど……もしかすると私を励ましてくれたのかもしれない……。

って、お礼の1つも言えてなかった。

彼にどんな意図があったかはわからないとはいえ、あの状況から助けてもらったのは事実だ。

次会ったときに、ちゃんとありがとうございましたって言おう……。そう決めて、再び一番奥の部屋へ向かう。

長男さんと三男さんはすごく怖かったけど……。次男さんは、いい人そうだった、な……。

胸の奥が温かくなるような、優しい感情が、じわりと広がる。

不安ばかりの新生活に、少しだけ光が灯ったような、そんな気がした。