せめて謝ってから去ろうとしたとき、次男さんの声が私に向けられた。

それは、さっきとはまったく違う、優しい声だった。



「……っ、え……?」



驚いて、反射的に顔を上げる。

視界に映った次男さんの顔は……とても心配したような、困った表情をしていた。優しさが滲んでいるその表情に、意味がわからなくなる。

どうして……そんな顔?

私、邪魔だったんじゃ……。



「失礼なヤツらだけど、気にしなくていいよ……。ここはもうあんたの家でも、あるんだから……」



言いにくそうに何度も言葉を詰まらせながら、そう言った次男さん。その声色は私を邪険に扱うどころか、気づかってくれているような気さえした。



『うるさいって言ってるだろ。邪魔』



もしかして、さっきの言葉は……私を助けてくれたの、かな……?

そんな自意識過剰なことを思って、恥ずかしくなる。