私も立ち上がって、悠里さんに頭を下げた。



「はい。ありがとうございます。少しだけ休ませてもらいます」

「ふふっ、もうこの家は2人のものでもあるんだから、そんなかしこまらないで。好きなように過ごしてね」



悠里さんは優しい人だから……きっと息子さんたちも、いい人たちだろう。

そう思っていたけど、人生はそんなに甘くなかった。

リビングを出て、2階に続く階段を上がる。

それにしても、本当に広い家……。

部屋はいくつあるんだろう……すごいなぁ……。

本当に、私みたいなのが住まわせてもらうにはもったいないようなお家。

掃除も行き届いているみたいだけど……誰がしているんだろう?

住まわせてもらう以上、私もできる限り家事をさせてもらいたいと思うけど……担当がわからないから、あとで悠里さんに聞かなきゃ。

そう思ったとき、歩く先にあった部屋のドアが開いた。