ただ、怒っているという感じではなく、逃げたという表現が正しい気がした。状況が呑み込めてないって様子だった……。

再び3人になったリビングで、悠里さんがため息を吐く。



「……すまない、失礼な態度を……」



お母さんが、笑顔で首を振った。



「いいえ、気にしないで! 確か……女性嫌いだって言ってたわよね?」

「そうなんだ……」



――え?

女性嫌い……?

それって、私と同じような……?

少しだけ、親近感が湧く。けれど次の瞬間、とんでもない状況だと気づいた。

女性嫌いなら……私たちが来るのなんて、絶対に嫌だったんじゃ……っ。



「学校でも、女の子とはいっさい話さないらしい」

「そう……」

「でも……、結局最後まで椿さんとも面会はしてくれなかったけど、再婚には反対しなかったし、応援してくれたんだよ。だから、2人のことも受け入れてくれているはずだ」