イケメン同級生は、地味子ちゃんを独占したい。

次男さんは、愛想のない声でお母さんに返事をした。



「そういえば万里と桜ちゃんは同じ高校の同級生なはずだけど、会ったことはあるのかな?」



……え?

悠里さんの言葉に、今度は私が驚いた。

同じ高校……?

もう2年になったから、同じクラスになったことがある人は一通りわかると思うけど、次男さんには見覚えがなかった。

男の人の前では基本的に、目を合わせないように下を向いているからかな……?



「……」

「……あ……い、いえ、別のクラスかと……」



黙っている次男さんに変わって、そう返事をした。

少なくとも、同じクラスじゃないのは確か。



「そうだったんだね。じゃあ初めましてかな。万里、挨拶しなさい」



悠里さんは、そう言って次男さんのほうを向いた。



「……」



次男さんは、眉をひそめた。

そして、何も言わずにリビングを出ていってしまう。