イケメン同級生は、地味子ちゃんを独占したい。

「男性恐怖症を治すいいきっかけになると思います……!」



少し引きつっているかもしれないけれど、私なりの、精一杯の笑顔。



「桜……」

「……ありがとう、桜ちゃん」



お母さんと悠里さんは、安心したように微笑んだ。

――パタンッ。

リビングのドアが、開いた音がした。

私たちのいる場所は、リビングの奥の応接間のような場所だから、誰が入ってきたのかは見えない。ただ、少しずつ大きくなる足音だけが聞こえている。

こ、今度は誰っ……。

反射的に身構えたとき、足音の主が見えた。

その人は――息を呑むほど、整った顔立ちをしている男の人だった。

男らしいというよりも、中性的で……かといって女性的というわけでもない。たとえるなら……どこかの国の王子様みたいな、綺麗な男の人。