玄関から5メートルほど離れた壁の向こうから、1人の男の子が顔を出した。

その人の姿に、ぞっと身の毛がよだつ。



「ひっ……!」



ど、どう、して……?

家の中、に……私と同じ年くらいの……男の子がいる、のっ……?



「あれ? もしかしてびっくりさせちゃった?」



男の子にしては低身長で、可愛らしい顔をしているその人は、私を見ながらいたずらっ子のように笑った。

私は動けないまま、ただ身を縮める。



「こら海里。そんなにまじまじ見つめたら失礼だろう」



……え?

壁の奥から、もう1人の男の人が現れた。

高身長で綺麗なストレートの茶髪が目に留まる、悠里さんと似た紳士的な雰囲気を持った人。

もうわけがわからず、私は呆然と立ち尽くす。

パニック状態で、助けを求めるようにお母さんを見た。



「……お、おお、お母さっ……」