ふふっ、可愛いなぁ……と、そんな呑気なことを思っていられるのはここまでだった。



「ここ……?」

「そうよ」

「へ、へぇ……すごく大きなお家だね……」



私は目の前にそびえ立つ家を、呆然と眺めた。

立派な塀に囲まれた、白地の家。二階建ての、モデルハウスのような建物。

門を入ると、芝生敷になっている広い庭が玄関まで続いている。

ただ、花壇には花が1つも咲いていなくて、土だけの状態だった。

忙しくて育てる暇もないのかな……?

せっかく整ったお庭で、日当たりもいいから、花を植えたらもっと綺麗になるだろうなと思った。



「部屋も5つ余ってるんだって」

「5つも……? 悠里さんって、お金持ちなんだね……」

「そうねえ。IT企業の社長さんだから」



社長さん……!

お母さん、玉の輿っていうものなのかなっ……?

でも、単純に悠里さんの人柄を好きになったんだと思う。