そう返事をしたけど、少しお母さんの言葉と態度が引っかかっていた。



「悠里さんのお家って、遠くないんだよね?」

「そうよ」



30分くらいで着くって言っていたから、もうそろそろかな……?

この辺りからなら、学校にも通いやすそう。



「前より通学時間短くなるね」

「そうなの。それに次男の万里くんは桜と同じこう……っ、い、いや、なんでもないわ~!」



……ん?



「お母さんなんて? 風の音で聞こえなかったよ」



再びビュンッと風が吹いたのと同時にお母さんが喋ったので、聞き取れなかった。

でも、次男とか聞こえたような……?



「何も言ってないわよ、ふふっ、うふふふっ」

「そう?」



ならいいけど……と思ったものの、どう見ても変だ。

お母さん、今日様子がおかしいなぁ……。

悠里さんとの生活が始まるのが嬉しくて、浮かれてるのかもしれない。