「悠里さんの前では……もうメガネ取ったほうがいいかな」



ふと、そう思った。

これはただの伊達メガネだし、壁を作るためのものだから……あとからそれを知ったら、悠里さんが悲しむかもしれない。



「っ、ダ、ダメよ!」



なぜか慌てた様子で即答したお母さんに、首を傾げる。



「どうして?」



そんな必死に否定するなんて……。



「あんたこんなに可愛いんだから、そのままだったら兄弟の子たちが……」

「兄弟?」



風の音ではっきりと聞こえなかったけれど、その単語だけは耳に入った。

兄弟って……?



「っ、え? そ、そんなこと言ってないわよ~! と、とにかく、慣れるまではつけておいたほうが、いいんじゃないかしら?」



どうやら私の聞き間違えだったらしい。

それにしても……なんだかお母さん動揺しすぎじゃないかな……?



「うん、そうする」