イケメン同級生は、地味子ちゃんを独占したい。

代わりに聞こえてきたのは、私の名前を呼ぶ日奈子ちゃんの声。

今登校してきたのか、前の戸から教室に入って来た日奈子ちゃんが、慌てて私のほうに駆け寄ってきてくれる。

泣いている私を見た日奈子ちゃんは、威嚇するように西田くんを見た。



「ち、違……俺が泣かせたわけじゃっ……」



どうやら、私が西田くんに泣かせられたと思っているみたいで、西田くんにも日奈子ちゃんにも申し訳なくなる。

でも、涙は止まってくれなかった。

こんな教室の真ん中で泣いて……恥ずかしい。

涙を拭おうと、メガネを外した。

教室中の視線を感じながら、ごしごしと目をこする。

きっと、何泣いてんだこいつって思われてるに、違いないっ……。



「桜ちゃん、行こうっ……!」



がしりと日奈子ちゃんに手をつかまれ、そのまま教室の外へと連れていかれる。

私がいなくなった教室で……。