わからない、よ……万里くんっ……。



「ちょっ……な、なんで泣いてんの!?」



知らない間に、堪えきれずに流れていた涙。

ダメだ……。

私、万里くんのこと、少しも忘れられてない。

それどころか、もっともっと好きになってしまう。

この気持ちを消すなんて……できない、よっ……。



「……あの、ね……ほんとは私、万里くんと付き合ってないの……」

「……は?」



私の言葉に、西田くんはぽかんと口を開けた。



「……い、いやだって、佐伯はどう見ても……」

「ほんとは、私のただの片想い、で……」



どうしてこんな話を西田くんにしているのかわからないけど、気づけばそう言っていた。



「……いやいや……どっから見ても両想いだろ……」



西田くんがぼそりと何か言った気がしたけど、私の耳には届かなかった。



「さ、桜ちゃん!?」