「おはよう、日奈子ちゃん」
日奈子ちゃんは、とっても可愛い女の子。
最初に見たときは、お人形さんかと思ったくらい。
校内でもモテモテで、ファンクラブの存在を聞いたこともある。
可愛くて優しくて、大好きな友達だ。
自分の席である日奈子ちゃんの隣の席に座って、今日必要な教科書を机の中にしまう。
その最中、私たちに向けられている視線に気づいた。
「今日も、日奈子ちゃん可愛いなぁ」
「ほんとほんと。それに比べて……」
「桃井桜って、なんであんな地味なの?」
「日奈子ちゃんも、なんであんなのと仲良くしてんだろ」
男の子たちのそんな会話が耳に入ってきて、胸がちくりと痛んだ。いつものことだから陰口をたたかれるのはもう慣れっこだけど、傷つくことには慣れない。
確かに、私みたいなのが日奈子ちゃんの隣にいるなんて見た目がよくないよね……。