少しでも早く一緒に暮らしたいというお母さんの気持ちは、汲み取ってあげたい。



「……うん、わかった」



私はそう返事をして、悠里さんに「よろしくお願いします」と言った。

悠里さんは微笑み返してくれたあと、またさっきと同じ、何か言いたげな表情になる。



「あの、桜ちゃん。じつは僕の家には―」

「悠里さん!!」

「……い、いや、何もないよ。そうだ、今日は3人でごはんに行かないかい? 桜ちゃんとも、たくさん話したいと思ってるんだ」



さっきから、どうしたんだろう?

悠里さんの言葉を遮ったお母さんを不思議に思いながらも、断る理由もなかったので「はい」と頷いた。

このときのこのやり取りの理由を、私は翌週、思い知ることになる。