「……えっと……あ、ありが、とう」



そう伝えると、万里くんは嬉しそうに笑って、「どうぞ」とメガネをくれた。


万里くんに買ってもらっちゃった……。

このメガネ、大事にしなきゃっ……。

新しいメガネをかけて、万里くんと並んで家に帰る。



「ねえ、どうしてメガネ壊れたの?」



他愛もない話をしていたのに、突然そんな会話になった。



「えっ……」



思わず、間抜けな声が漏れた。



「もしかして、あの西田ってヤツ?」

「ち、違っ……」



メガネが壊れたのは不慮の事故というか……結果的に、自分で踏んで壊してしまったから……。



「西田くんはメガネとは関係なくて……」

「メガネ“とは”?」



万里くんが、私の言葉にぴくりと反応した。

しまった……と、あからさまに肩を跳ねさせてしまう。



「やっぱり、まだ何か言われてるの?」