「あと、それとね……」

「ゆ、悠里さん……! それは今は言わなくても……」



何か言いかけた悠里さんの言葉を、お母さんが遮った。

私から離れ、悠里さんの隣に移動したお母さん。

……ん?



「いや、でも椿さん……」

「あ、あとからにしましょう……!」



こそこそと何か話している2人に、首を傾げる。

すると、話が終わったのか、お母さんが私を見てにっこりと微笑んだ。



「さ、桜」

「はぁい?」

「さっそくなんだけど、来週から悠里さんのお家に引っ越そうと思うの」

「え? ら、来週?」



そんなにすぐ……?



「籍を入れるのは桜が卒業してからにしようと思っているんだけど、家族になるなら、一緒に住みたいなって」



お母さんの言葉に、ノーとは言えなかった。

そうだよね……3年前から知り合っていたなら、きっとずっと前から、一緒に住むことを夢見ていただろう。