イケメン同級生は、地味子ちゃんを独占したい。

また悪口でも言われているんだろうかと、身を縮めた。

ちょうどチャイムが鳴って、逃げるように席に着く。



「マジかよ……」



西田くんのそんな声が聞こえたけど、私は気にしないようにして、次の授業の支度をした。


はぁ……やっぱりメガネがないと、落ち着かない……。

やけに視線を感じるし……わ、私の顔、そんなに変なのかな……?

できるだけ顔が見えないように、下を向く。

万里くん、まだかなぁ……。



「桜」



大好きな声が聞こえて、顔を上げた。待ち望んでいた万里くんの姿に、自然と頰が緩む。

カバンを持って万里くんのほうに行こうとしたけど、なぜか万里くんが、目を見開きながら私を見ていることに気がついた。



「……」



万里くん……?



「…………は?」



長い沈黙のあと、私を見ながらそんな気の抜けた声を出した万里くん。



「……桜?」