振り返ると、挙手をして先生を見つめる日奈子ちゃんの姿が。

後ろの席から見えていたのかな……。

助けてくれたことに、嬉しくて肩の力が少し抜けた。それにしても、うるさいって……ふふっ、日奈子ちゃんは、可愛いなぁっ。

日奈子ちゃんと目が合って、微笑む。ありがとう……と、心の中で呟いた。



「西田、喋ってないで集中しろ~」



先生に怒られた西田くんは、みんなに笑われて恥ずかしそうにしている。

日奈子ちゃんのおかげで、助かった……。


その日はなんとか、1日乗り切ることができた。

西田くんもあれから話しかけてこなかったし……このまま、関わりなく過ごせたらいいんだけど……。



「桜」



いつものように万里くんが教室まで迎えに来てくれて、一緒に帰る。



「席順変わってたけど……あいつと隣の席になったの?」



迎えに来てくれたときに、見えたのかな?