背後から聞こえた万里くんの声に、振り返る。

準備を済ませた様子の万里くんが、不機嫌そうに眉をひそめながら歩いてきた。



「おー、万にぃ警察は今日も健在だね~」

「ガードがきついわ、ほんっと」



ん? 警察? ガード……?



「だからうるさい。とっとと学校行け」



2人の言葉が気になったけど、万里くんにそう言われた2人は「はーい」とそれぞれ返事をし、家を出ていった。

私たちも、続くように家を出る。

2人は私たちとは別の私立校に通っているから、まったくの逆方向だ。


万里くんと並んで登校するのも、もう日常になっている。



「あいつらに何言われたの?」



あいつらって……長男さんと三男さんだよね?



「ううん、とくに何も言われてないよ!」

「そっか……何か言われたら、すぐに俺に言って」



万里くんは、いつもそう言ってくれる。