桜がこの家に来て一時はどうなるかと思ったし、海里や千里のことも、心配は山積みだけど……それ以上に、好きな相手とこんな近くにいられて、好きな相手の手料理を食べることもできて、少し前の俺には想像もつかないほど幸せな時間を過ごしている。

でも……桜を知れば知るほど、近づけば近づくほど、もっとと欲が出る。

桜はまだ俺のこと、男として意識なんて少しもしていないだろうけど……俺は、優しい家族になるつもりなんてないから。



「あー……。早く、俺のものになって……」



静かな部屋に、俺のそんな声が響いた。