俺の感想を聞いた桜が、安心したように口元を緩ませる。



「えへへ、よかった……」



そんなことを言う桜が可愛すぎて、愛しくて、抱きしめたい衝動を必死で堪えた。

……ていうか、今更だけど男の部屋に入ってくるとか無防備すぎる。

桜は警戒心がなさそうだから、俺の心配も増えてしまう。



「これ全部くれるの?」

「う、うん」

「ありがと。食べる」



全部食べてしまうのはもったいないけど……食べないほうがもったいないか。



「それじゃあ、おやすみなさい」



桜はそう言って、部屋を出ていった。

1人きりになって、黙々とパウンドケーキを食べる。

……はぁ……。

今俺、幸せすぎる。